事業展開と人材
福井県の有効求人倍率は2.15倍(2018年8月時点)で、常に東京都とトップ争いをしています。しかしながら、東京都と福井県ではその中身は全く違うと思います。
下の図は、東京都と福井県の人口の年齢構成を表したグラフです。
四角に囲った部分はいわゆる労働人口と言われる層になります。労働人口は、労働の担い手であると共に高消費層でもあるので、経済循環において最も重要な層です。東京は「ひょうたん型」であり労働人口層が充実していることが分かります。それに対して福井は「逆ハの字型」であり、労働人口層の高齢化、若手人材の不足が明らかです。
企業成長の足かせは「人材力」
ある企業と経営計画を作る取り組みをしました。この企業は、外部環境の変動によって仕事量が決まってしまう業態で、もちろん一定量の営業活動は必要ですが、営業量を増やしたからと言って極端に売上が伸びる業態ではありません。そこで本業以外の事業において、待ち⇒攻めの営業に転換する検討を進めました。
そこで足かせになったのが「人材力」です。営業のノウハウどころか、営業人員もいません。社長は現場で働く作業員でもあります。データを使った顧客管理、商品管理、仕入管理もしていませんし、できる人員もいません。それも当たり前で、前述の通り今まで営業らしい営業をしてこなかった(する必要が無かった)業態です。この企業さんが特別悪い訳では無く、こうした業態は他にも沢山あるはずです。
企業成長のカギは「人材力」確保
計画策定当初から現場作業員の採用面で悩んでいる事を聞いていましたので、どのようにしたら若い作業員を獲得できるのかの検討に時間を使いました。でも、例え採用できたとしても既存事業を継続する事にしかならず、経営力の向上には繋がらない事に気付きました。
そこで、途中から「マルチプレーヤー」の採用をしたいという考えに変わりました。この企業さんが考える「マルチプレーヤー」とは、そこそこパソコンが触れて、対人活動(営業など)ができる人材です。このマルチプレーヤーに新たな事業展開の担い手になって欲しいという狙いです。
中小企業(特に小規模企業)の場合、全ての能力が備わっている企業は存在しません。例えば、次のようなレーダーチャートがあったとすると、全てが最大になるような企業は、超大手くらいでしょう。
大手であっても、社員一人一人が足らない能力を補った結果として最大に近づけているはずです。
真に不足している「力」を分析
人手不足というワードを聞かない日はありません。「どうしたら作業者が来てくれるのか?」とよく聞かれます。でも、会社として必要なのは「人(数)」なのか「力(能力)」なのか?と思う時があります。
- 人が足らないのであれば、今の人員で出来るように改善できる人が欲しいのでは?
- 既存社員に現場改善できる能力を身に付けさせればいいのでは?(研修など)
- 人手に変わる設備導入、自動化、IT化を進めれば良いのでは?
- アウトソース(外注化)すればよいのでは?
自社にとって一番不足している「力」を分析し、その解決策の検討をしていかなければと思います。一番最初に書きましたが、労働人口は限られています。その中で自社に本当に必要な「力」を見つけて欲しいと思います。
0コメント