利益計算の理解が儲けへの第一歩
会社経営をされている方で「損益計算書(PL)」を見たことがない経営者さんはいらっしゃらないはずです。法人においては、決算書の作成が義務づけられていますので、少なくとも年に1度は作成しているはずです。では、過去の損益計算書と比較している経営者、損益計算書を説明できる経営者、将来の損益計算書を作れる経営者はどれだけいるでしょうか?利益率、原価率、外注比率、販管費率、FL比率など計算した事がありますか?
事例
小さな商店を営む個人事業主の方からこんな質問を受けました。
店主「うちは仕入価格に2割5分をかけて販売しているので25%の利益が出ているはず」
「なぜ赤字になるのか?」
この時点で、いろんな要素が抜け落ちています、
仕入、利益、売値の関係
仮に100円の商品を仕入れたとします。2割5分をかけた売値は125円です。
→仕入値:100円 × 1.25 = 売値:125円
手元に残る利益は25円です。
→売値:125円 - 仕入値:100円 = 利益:25円
この場合、利益率は20%になります。
→利益:25円 ÷ 売値:125円 × 100 = 利益率:20%
つまり、仕入値に2割5分をかけた場合、利益率は25%ではなく20%になるわけです。
この時点で利益を過大に見積もっているので、儲かっているような錯覚に陥ってしまいます。
間接費を把握していない
仕入などのメイン業務になる部分で支払うお金については、値切ったり、増減に敏感になったりするのですが、間接的に支払う販売管理費の部分に無頓着な場合が多いように思います。
今回の例では「25円の利益が出ているはず」だと思っていますが、それは売上総利益(粗利)であって、営業利益ではありません。販売に必要なありとあらゆる費用(販売管理費)を差し引いた、営業利益で考えなければ儲けに繋がりません。
このお店は年間1000万円の売上がありますが、販売管理費が200万円程掛かっているので、営業利益ではゼロという事になります。
→売上:1000万円 × 利益率:20% - 販管費:200万円
=売上総利益(粗利):200万円 - 販管費:200万円 = 0(ゼロ)
仮に200万円の営業利益を出そうと思うと、売上は2倍の2000万円に増やす必要があります。
→(販管費:200万円 + 営業利益目標:200万円) ÷ 粗利率:20%
=必要粗利益額:400万円 ÷ 20% = 2000万円
さて、1000万円を2000万円に増やすのは大変ですよね…困りますよね。
利益構造の把握から改善策検討を
さて、1000万円から2000万円にするためには1000万円も増やす必要があります。月84万円です。
ここで、もし利益率を1%あげた場合、必要売上高は約1900万円になります。
→必要粗利益額:400万円 ÷ 21% = 1904万円
たった1%で100万円も変わります。
100万円の売上を新たに獲得するのと、利益率を1%上げるのではどちらが大変でしょうか?
業種や人によって回答は様々だと思いますが、大多数の人は利益率1%アップと答えるのではないでしょうか?
こう考えると、いろんな改善策が見えてきますよね?
- 販売管理費:200万円 を減らす
- 売値は変えず、仕入原価を下げる(利益率アップ)
- 仕入原価は変えず、売値を上げる(利益率アップ)
- 販売量を増やす(売上アップ)
- 利益率が高い新たな商品、サービスを売る
- 利益率が低い小売ではなく、川上(製造)も自社で行う
安直に「もっといっぱい売らなければ!」と考えてしまい、結果的に利益率を下げてしまったりするケースも見られます。たった1%の利益率が、どれだけ大きな事なのか理解すれば、簡単に値下げは出来なくなります。どうやったら少しでも高く売れるか?を考えるようになります。
まずは、決算書から現状を知る事が大切です。決算書の見方、考え方などは、簡単なようでテクニックも必要です。もし興味があれば、お気軽にご相談ください。ふくい産業支援センターの総合相談窓口で無料相談が受けられます。相談可能日は、当ホームページのトップページをご覧ください。
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