「働き方改革」の本質
「働き方改革」をいうフレーズを聞かない日は無いと思います。認識の仕方は人それぞれですし、雇う側、雇われる側でも違うと思います。仕事柄、経営者側(雇う側)の思いを聞くことが多いのですが、批判的な意見や、危機感を感じているという言葉が多いです。
表面的には、残業削減・休日&有休の増加によって、労働時間を減らすという認識ではないでしょうか。雇われる側(サラリーマン)にとっては「早く帰れてラッキー!」「休み増えてラッキー!」だったり、逆に「残業代減るのは困る」「日中に忙しくなるのは嫌だ」という人もいるでしょう。
雇う側としては、ただでさえ人材不足なのに、残業させられなくなると仕事が回らないというのが実情です。
「働き方改革」の本質
働き方改革の本質は、ズバリ「生産性の向上」です。元々、日本の労働生産性は欧米諸国に比べて悪い現実があります。つまり、時間当たりの付加価値額が低いのです。その低さを、長時間働いてカバーしているのです。
同じ12,000円の付加価値でも、日本は4時間、欧米諸国は3時間でやりきります。日本の製品が価格的な競争力が無いのはこれが原因です。と言うとで、生産性を上げて3000円/時間だった生産性を4000円/時間に上げてやることが必要です。ましてや、人口減少時代に突入している日本においては、労働人員が減ったとしても、今までと同じ仕事量をこなしていかないと経済が低迷して行きます。
【出典:総務省 情報通信白書】
政治の縦割り構造
何が言いたいかと言うと、働き方改革を主導している「厚生労働省」の考え方は、
【働き方改革の実現】→【投資・改善イノベーション】→【生産性の向上】
です。働き方改革のアウトプットとして、生産性向上が実現できるというのです。裏を返せば、厚労省としては、働き方改革を実現できれば、それで良いのです。
しかし、私を含め、経産省・中企庁が達成したい、働き方改革の本質としては、
【投資・改善イノベーション】→【生産性の向上】→【働き方改革】
なのです。つまり、生産性の向上をしなければ、働き方改革なんて実現できません。にも拘わらず、厚労省は労基法の外枠決定などを進めていく、、、そのやり方に疑問を感じます。
いわゆる政治の縦割り構造が招く、利害関係の不一致だと思います。
企業の備え
とは言え、末端が何を言おうが時代も政治も進んでいくものです。法改正が進み2020年頃からは順次施工されていきます。企業側はそれに備える必要があります。
対策①-人材を確保する
法律をクリアするだけであれば、人を増やせばOKです。人を増やせば1人当たりの仕事量は減るので、1人当たりの労働時間も少なくて済みます。しかしながら、トータル的な労務費は増えるでしょうし、そもそも人口減少の時代に人が確保できるのか?と言う問題があります。
対策②-業務改善をする
今までやってきた業務の中に無駄な作業、付加価値を生まない作業が無いか見直します。例えば、身近な例では、プリンターを近くに置けば、プリンターまで印刷物を取りに行く時間が短くなります。請求書・納品書などの紙書類を電子化が出来ればファイリングする時間が要らなくなります。たった1日10分の削減が年間40時間以上の労働時間削減になります。8時間労働なら5日も休み増やせますよね?
対策③-投資
もし10分/日 削減する為に今のソフトウエア・設備で達成できなければ、新たな投資を考えます。労務費が減って、社員満足度があがる、とてもよい投資です。
働き方改革は「脅威」ではなく、会社の現状を見つめなおし、会社の将来を考える良い「機会」です。もちろん、経営者主導で改善を進めるのも良いですが、社員がチームを作って、自らの労働環境を良くする取り組みを考えるのも良いですし、効果も出ます。「社員が実現する"働き方改革"」なんて面白そうですね。今こそ生産性の改善に取り組みましょう!
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