工程改善における「点」と「線」
先日、とあるものづくり企業さんの工場を見させて頂きました。詳しい事は言えないので、かなりオブラートに包んで話します。
業種的には一般的なのですが、実際に作っている物はとても特徴的でニッチな製品でした。各工程を確認させて頂きましたが、機械化を進めておられてとても努力しているのを感じました。今回呼ばれたリクエストも、この業種としてはとても高度な内容で、時代の先端を掴もうとする取り組みです。
「点」と「線」
1つ気になった事は工程改善の視点です。個々の工程(設備)では、改善が見られるのですが、工場全体を見ると流れが見えず、各工程が独立している印象でした。今回のリクエストも、1つの工程の生産性向上・品質向上なのですが、その結果として工場全体としてどれだけの改善になるのか問うと、???という状況です。
もちろん、手作業→機械化をすれば、時間短縮・精度向上が図れるでしょう。ただ、その工程がボトルネック工程でなければ工場全体としては生産性は上がりません。ボトルネックではない工程で50%の生産性向上を達成しても、工場全体としては0%の改善です。
※現実的には、時短や歩留改善による労務費&材料費削減が図れますが。
それよりも、ボトルネックで10%の改善をすれば、純粋に工場全体で10%の生産性向上が図れます。
工程を「線」で見る
全体を線(流れ)で見て、その流れの淀みを発見する事が改善の第1歩だと思います。川と同じで、もともと流れが良い上流を整備しても、下流にダムがあれば排水量は変わりません。むしろ、ダムに水が溜まって負荷が掛かります。急いで排水する為に、人手や電力を使って排水口を開放します。間に合わなければダムが決壊します。下流は急激な水位の上昇で、被害が出ます。全て無駄な事です。
(上流工程)
- 一定の水量を供給できるようにする
- 場合によっては、小規模のダム(工程間在庫)を設ける
(ボトルネック工程)
- ダム(ボトルネック)は、上流からの水をそのまま流す努力をする
- 時には人手を増やして排水口を開く
- 処理しきれない場合は別の排水方法(機械化、増設)を考える
(下流工程)
- ボトルネック工程以上の水量を流せるように設計する(増産対応)
- 極力直線的に設計する(うねりは堤防決壊の可能性がある)
- 問題があればすぐに上流工程に情報を伝える
とにかく、工程を線で捉えなければ工場全体の生産性は向上しません。各工程のフロー図(流れ図)を書いて、そこに生産能力(CT×設備数(人員数)×可動率)を記載します。工程間在庫(○○日分など)を記載します。どこがボトルネックで淀みがあるのか可視化します。
そのボトルネック工程をどれだけ改善すれば良いのか? 何が阻害要因なのか? どのようにしたらそれを取り除けるのか? これが工程改善のスタートだと思います。まずは自社の工程を情報を可視化して、問題を発見し、改善による効果予測をする事から始めてみてはいかがでしょうか。
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